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kirakira
17:26:00
ダンセイニ卿には、現代文明(科学や機械)や人工物がお気に召さない面もあり、彼の作品にはそういうものに対する皮肉が盛り込まれた話もあります。
五十一話集の何篇かや、長編でいうなら「牧神の祝福」などがそれにあたるでしょう。
また、ダンセイニ自伝「陽光の煌めきと影」の一節では、英国でも有数の製鉄王の令嬢と夕食を共にしたときにこんな論議をしています。

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 私は機械と黒煙の国に対しての反対論を口にし、斯様なものが英国を荒廃させていると主張したのだ。しかし彼女は耳新しい論拠で議論を制したのである。私は今でも彼女の言葉を覚えている。「もし機械がなければイギリス国民の五分の四は現代を生きることが出来ない筈です。百五十年前イギリスは現代の五分の一の人口しか扶養出来なかったのですから」
 私は哀しいかなそれにいかに応戦すべきかが思い当たらなかったのだ。しかし今ではそれに答えることが出来る。私は危惧を込めてこう反論する。平和の時代に機械が扶養したものは、いずれ戦争の時代に機械がそれを破壊することとなる。1911年機械は未だ人間の僕であった。しかし彼等は人間に牙を剥くのであろうか。今機械がロンドンに建築した家並みを眺める時、私は昨今しばしばある感慨を抱くのである。人間はもはや機械の主人ではない。機械は金属を加工して人間の夢を紡ぎ出したりはしない。木の葉と肖像が刻まれた銅版画などを描くこともない。それどころか我々は包装箱のような家を建築しているではないか。

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これはひどく現在にあてはまると思います。
「夢源物語 ロリーとブランの旅」を翻訳された方の日記で以下の内容に感銘を受けました。

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 実際多くの人間はさらなる便宜を追求して生きているのに対して、我々狩猟家は潮の満ち干や樹木の成長、それに昼夜の移ろいなど、それを我々が何と呼ぼうと、星々に規律を与えている経緯のより近くにいるものだと考えるのである。
 人間は今世紀になっても「便宜の追求」に奔走している。そしてリーマン瓦解に端を発したゲームの弁償のため、世界は不安におののいている。しかしこれは変化のためのひとつの試練なのかも知れないと感じるのだ。
 ダンセイニ「「我が愛欄土」一節


 人間は科学によって黄金を造ろうと試みてきた。しかし現在必要なのは「黄金」によって科学を再構築することである。別の言い方をすれば、いままで人間は、「精神の物質化」に取り組んで来た。しかしこれからは「物質の精神化」を推進しなければならない
 エリファス・レヴィ(近代魔術の研究家兼オカルティスト)

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もし文明がこのまま進んでいけば人類は破滅の道に達すると思います。
人はよく言う。「失敗したらやり直せばいい。そうして文明は進歩してきた」と。
でも、やり直しがきかないのではないかとは考えないのだろうか。
たとえばOVA「ジャイアントロボ」ではフォーグラー博士がこんなやりとりを。

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フォーグラー
「我々はうかつな実験などするべきではないのだ」
シズマ
「それは違うな、いいかねフォーグラー、今までの科学の歴史を見ても、それは実験の歴史ではなかったかね、そして常に様々な形で我々に栄光の光を与えてくれたはず」
フォーグラー
「その反面、取り返しのつかない失敗があったのも事実だ」
シズマ
「わかった、仕方あるまい、だがねフォーグラー、我々科学者達の足元にはその失敗の山が広がっているのだよ、そう数々の惨劇のね、君もその一人だろ」
フォーグラー
「いいや、今こそ我々科学者は、その失敗という舞台から降りなければならないのだ」


フォーグラー
「人類は、夜の暗闇を炎で照らしその恐怖から開放された、だがそれと同時にさまざまな犠牲をも生み出してきた。公害、自然破壊、オゾンホール、いつもなにかあってはじめてあわて騒ぎ後悔をする、だがそれももう限界だ、もし今度何かあれば、それがとりかえしのつかない事ならどうする、我々科学者とは一体何者なのだ、進化というベールをかぶった破壊者なのか。
わしは願う。科学が常に犠牲を生み出すのならその科学でそれを食い止めることは出来ないだろうか」

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人類が生き残る道は二つだと私は思います。
ひとつは、「牧神の祝福」のラストにみられるような自然回帰。
もうひとつは、人間自身の変化、つまりは精神の進化。
愚かな過ちや諍いを起こさないほど心が発達すればいいわけです。

人は言います。「人間は昔から争いを繰り返している。どれだけ経ってもこの世から争いがなくなることはない。それが人間というものだ」と。
でも知性を得た人間の歴史なんてたかだか数千年か数万年程度のことなのに、どうしてそんなことが口にできるのか? 猿が人に進化するのにはもっと長い歳月がかかったはずだろう。
それなら人間の精神が進化して変化だってするはずである。

それはニーチェのツァラトゥストラがいうような超人か。
あるいは「めんたるダイバー」のアニマ・アニムスのような超人格か。
なんにせよ、取り返しのつかないことにならないうちに起きなければならないと思う。

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プロフィール

皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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