kirakira
11:04:11
レオノーラ・カリントンの「耳らっぱ」を読了。
帯の紹介文を読む限りではハチャメチャな話にしか思えなかったけど、実際は、地下に堕とされた異教の女神の地上への復帰による大異変・地球氷河期到来、現代文明の否定・破壊というずっしりしたテーマの小説でした。

前半は主人公の老婆の、養老院での他の老婆たちとの出会いや生活を単調に描いているだけなのですが、中盤で作中劇ともいえる尼僧院長の記録が紐解かれると、反キリストや聖杯伝説の新解釈、異教の母なる神など、一気に幻想要素が表に出てきて、後半には大地震で現代文明が崩壊、太陽が昇らなくなり氷河期到来など、自然宗教・原始宗教をあらわした新世界への終末というすごいラストは、あっけにとられるほど。

原始の異教憧憬、自然崇拝による現代文明の否定などはダンセイニの「牧神の祝福」やブラックウッドの「ケンタウロス」などにも見受けられるものの、この「耳らっぱ」は作中で実際に地球に大異変を起こして現代文明を破壊させてしまっているのがカタストロフ的というか。

訳者あとがきで、舞踏会デビューを嫌がり仲良くなったハイエナに姐を食い殺させてその皮をかぶったハイエナに代役を頼むというブラックユーモア短編が紹介されていて……なんか記憶にある話だなと思ったら、怪奇小説傑作集4(創元推理文庫)に収録されていた短編でした。そうか、あれの作者だったのかー。

あとがきで掲載されていたレオノーラ・カリントンの言葉が印象的だったのでここに記しておきます。

ーーーーー

「芸術においても生活全体においても、物質の仮説に騙された人々の知らぬ間に、魔術はいたるところに浸透している。物質とはじつのところ蜃気楼にすぎないのだ。人間は男も女も、自分は合理的であり意識的であり意志的であると信じながら、じつはいつも幻惑されてしまっている。画家もまた今日の人間の悲しい状態を免れてはいない。……異様な魔術の大洋のなかに入ってはじめて、人間は自分自身の救済と、この病んだ惑星(地球)の救済とを可能にするのである。」
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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