kirakira
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「恐ろしい美が生まれている アイルランド独立運動と殉教者たち」を読了。
パーネル以降の独立運動から共和国成立後までがドキュメンタリー形式で書かれた本ですが、著者の曾祖父が生涯イギリス秘密警察の監視を受けた革命家グループの指導者の一人だったり、著者が当時の独立運動の関係者たちから直接話を聞いたりしているところが意義深い。

あ、文芸復興でアイルランドから輩出された作家名の中にダンセイニも記述されてる。
ここに羅列されてる作家の何人かは前に読んだ「アイルランド短篇選」で見かけたような。

とりあえずこの本はアイルランド視点で書かれているのでイギリスのアイルランドに対する行動が外道としか思えません。まあ、征服国の植民地に対する態度なんてどこも同じか。
とはいえ記述を読んでいると、チェコの某小説内で「イギリスはこんなだから、他の国に追いこされたって仕方ないよ」なんて揶揄されるのもやむなしかなあと思います。

イギリスはアイルランドのナショナリズムを軽視したのが過ちだなあ。イースター・ライジングを単なる反乱を鎮圧したとしか思ってなかったのが、そして、報復的な出来レース処刑が、それまで反乱側に冷ややかだったアイルランド人たちにどんな心境変化をもたらすか理解していなかった。
それにしてもシン・フェイン勝利後の血生臭い報復合戦は凄まじい……
最終的にアイルランドは独立を勝ち取るわけですが、その時の有能なイギリス党首が「こちらの用意した条約文書に署名しなかったら全面戦争しかけるぞ」と脅迫して無理矢理合意させたあたり、イギリスまじ外道。
まあその文書の内容が、アイルランド側が「これなら自分らの閣僚強硬派も納得してくれるだろう」と算段していたものとほぼ同じだったのは面白いです。
しかしこちら側が連絡を取って納得したうえで合意するのと、連絡できずに脅迫されて合意するのとでは、そりゃあ条約内容が殆ど同じでも結果としては致命的な差がありますね。おかげで内戦が起きて、現在にまで続く北アイルランド問題が発生してしまうわけで。
てゆーか北アイルランドの支配階級ユニオニストたちの「俺らの既得権益が失われるのは絶対に嫌だ」というろくでもない考えが元凶といっても過言ではない。

えーと……「ゲーテとの対話」の中で、アイルランド論議でゲーテがこんな風に語ってました。

「アイルランドの状況というのは、われわれにはまだはっきりしたことがわからないね。なにしろ問題が複雑すぎるよ。とはいえ、あの国は、どんな手段によっても、たとえ解放という手段によっても、取除けない禍いに悩まされているという点だけはたしかだ。今まで、アイルランドが、その禍を一身に背負ってきたのは不幸だったが、今度はイギリス本国までがそれにかかわりあうことになるわけで、やはり一つの不幸だし、そこが問題だよ。
おまけに、カトリック教徒はぜんぜん頼むに足りないしね。これまでアイルランドでは、二百万のプロテスタントが、五百万の優勢なカトリックのおかげで、どんなにひどい状態に置かれていたかは先刻承知のとおりだ。たとえば貧しいプロテスタントの小作人などは、カトリック教徒に隣近所をとりかこまれてひどく圧迫され、痛めつけられ、苦しめられてきたものだ。カトリック教徒は、仲間同士でいると仲が良くないが、いったんプロテスタントに対抗するとなると、いつも一致団結する。ちょうど咬み合いばかりやっているくせに、鹿でも現れたとなると、たちまち一団となって突進する猟犬の群みたいなものだ」

これは1829年4月7日の対話での発言。アイルランドにおけるダニエル・オコンネルのカトリック解放の時ですね。
後半の発言に関しては、権力を持つ少数のプロテスタントが大多数のカトリックを虐げる真似をしてきたのだからしようがないのだけど、前半の言葉はなかなか言い得て妙だと思います。
もしそれから100年後の独立をゲーテが見たらどう思ったか気になるところですが、ゲーテは革命には否定的なのですよね。フランス革命を強く批判してますし。

「いかなる革命も極端になるのは避けられない。政治革命の場合、人々は最初さまざまな不法を正すことだけを要求する。しかし、すぐに流血の惨事に突っ込んでしまう」
「私はあらゆる暴力的な革命を憎む。たとえよいものが得られるとしても、それと同じくらいよいものが破壊されてしまうからだ」

ただしゲーテは反革命側を擁護したのではなく、革命家の不正を憎んだのだそうです。
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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