kirakira
00:03:29
「アイルランド 歴史と風土」(岩波文庫)を読了。

アイルランドの文明の流れ、歴史と風土を冷静に多面的な視点で見る精神史考察ですが……現代アイルランド作家である著者の主張的なものが「黴の生えた民族主義や狂信的愛国心なんか捨ててアイルランドはもっと現代化しろ、成熟しろ」といったものなので、昔の農民や伝統主義の平民に対する批判がちょっときつい気がします。
訳者あとがきによると著者は晩年に「私は世界の一国としてのアイルランドにしか関心がない。地方的な郷土愛のひとかけらも私には残っていない。人間の尊厳は世界中どこでも尊重されるべきものだ」と書いているようです。

この本を読んでいると、アイルランドの非知識人はそんな酷いのかと思わなくもないですが、同時に、知識人と非知識人の意識の差というのを感じます。前者は後者を軽蔑し、後者は前者に嫉妬する、というか。

ロマンチストな私は、ロマンチシズムや牧歌的なものに否定的な著者の考えにはあまり共感できないものがありました。
ただまあ、実態はまさしく著者の言っている通りなんだろうなあと思います。
kirakira
kirakira
コメント
No title
この本を読んだわけではないので何とも言えないのですが、「とにかく近代化しろ、それに反対するのは非知識人だ」と作者が主張しているのならば、どうも鼻白みますね。
例えば欧州や日本だったら伝統を尊重する知識人もいます。

知識人VS非知識人の構図にもっているならば、少なくとも印象の面では後者に勝ち目はないでしょう。主張もさることながら、こういった構図に持っていく事じたいが自分には警戒心を呼び起こさせますね。

それにしても各国はそれぞれ独自の歴史や文化を持っているというのに、それを否定して「世界の一国としてのアイルランド」とはどういう意味なのかと疑問に思います。
国内には様々な問題があるのでしょうし近代化も悪いとは申しません。ですが伝統を現代に合うように原理を保ったまま変化させ、その国の伝統を守る形で近代化させないと混乱を招くだけで意味は無いように思われます。
腕王│URL│2011/05/12(Thu)14:34:46│ 編集
No title
まあ私の感想も偏っているのでなんですが、ただ、結構辛辣で鼻につく部分が見受けられましたので。

訳者あとがきによると、

『アイルランド史は古来より多民族の混交の歴史であること、英国による植民地化の歴史にのみ重点を置かず、ヨーロッパ諸国との交流史に目を向ける必要があること、民族主義者が彼らの拠り所としているゲールの伝統は十八世紀に死滅したこと、孤立した民族主義を捨て、近代化を進めて世界の一員として仲間入りをしていく以外にアイルランドが発展する道はない』

というのが著者が本の中で説く主張のようです。
皇帝栄ちゃん│URL│2011/05/13(Fri)00:22:01│ 編集
コメントの投稿










トラックバック
トラックバックURL
→http://kadasu.blog10.fc2.com/tb.php/1883-9cb2fc32
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
kirakira
kirakira
プロフィール

皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


新刊「カワイイボクとファーストキス」とらのあな様にて委託販売中。



メールフォーム

kirakira
kirakira
検索フォーム
kirakira
kirakira
月別アーカイブ
kirakira
kirakira
QRコード
QRコード
kirakira