kirakira
13:49:54
ブラックウッドの「人間和声」を読了。あまりの昂揚感にページを繰る手が止まらず、小休止を何度か挟みながら1日で最後まで読んでしまった。いやあ、やばい、読んでる間ずっと精神的昂揚が止まらなかった。大好きな作家の、好みに合う作品、これが合致していることの威力よ。

ものすごい発見をした聖職者が、素質のある老婆とその姪(ヒロイン)と主人公の青年を巻き込んで、四つの力ある和音を完成させ、ある絶対的存在を捉えて自分たちも神々のようになろうとする、壮大な神秘主義+ホラー要素も含んだとても面白いお話でした。
現実と地上を向いた男女の愛が肯定され救われるというのはブラックウッドの作品では珍しいラストといえます。最後のほうの展開は、どことなくダンセイニの「ロリーとブラン」と重なって見える部分があり、聖職者=鋳掛屋、ヒロイン=オリアナ+ブラン、主人公=ロリー、っぽく感じました。

ブラックウッドの作品には自然賛美と文明批判が色濃く強調されるものがありますが、この「人間和声」では一箇所だけ文明批判のセリフがあります。

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「人間は幾時代にもわたる物質主義のため粗野になり、発明の贅沢や、魂を犠牲にして知性を発達させる近代生活の病弊によって、愚鈍下劣になり下がった。かれらは神聖な音を聞く内なる聴覚を失ってしまったが、今でもここ彼処にポツポツと、微かな、遠い彼方の名状し難い音楽を聞きとれる人間がいる。
 朝の星々が太陽に歌う時、今は誰もその声を聞く者はない、諸天球の歌唱を今は誰も知らない! 世人の耳は欲望に栓をされて、古く神聖な真の命名の科学は、発動機の轟音や機械のやかましい怒号の中に永久に失われてしまったようだ!」

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この一年後に書かれた「ケンタウロス」では、このような文明批判と自然賛美が圧倒的な分量で堪能できます。


巻末に紹介されているブラックウッドの未訳長編でこれは読んでみたいと思った作品は、「ポール伯父さんの教育」、「番外の日」、「果物の種の男たち」、「空の約束」あたりですね。どれもすごく好みに合いそう。今後どれか邦訳されてくれないかなあ。
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皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


新刊「永遠のレイサナ」とらのあな様にて委託販売中。


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