kirakira
18:08:14
私が織田作之助を好きなところの一つは、オダサクが貧乏長屋の生まれからくる劣等感と他のやつらをあっと言わせてやりたいという強烈な自尊心を併せ持ち、何度も本当にみなを驚かせて見返したことかな。

最初は名門の高津中学に受かったこと。当時は中学に進学できるのは裕福な家の子供だけだった。さらにいえば、オダサクが小学校で優秀な成績をとっても毎年の優等生は裕福な家の子供が選ばれることに、理不尽な格差も思い知った。だからオダサクが高津中学に受かったときは町内大騒ぎ。まさにみなをあっと言わせたのである。ついでにいえば毎年優等生をかっさらっていった子供は落ちた。このときオダサクに強烈な自尊心が芽生え、三高合格や第1回文藝推薦受賞にも結びついていく。

高津中学に入ったオダサクだが、しかし周囲に打ち解けず疎まれ、理解を示してくれる相手がごく少数という状況で、今に見てろ驚かせてやるの精神で三高(のちの京都大学)合格を目標にする。当時、三高は東京大学と双璧をなす難関中の難関で、名門の高津中学からも年に1~2人しか合格者が出なかった。オダサクはみなをあっと言わせてやるため、中学の学業はわざといい加減にやっているように見せかけて成績を下げ、家でこっそり猛勉強した。なので同級生も教師達も誰一人としてオダサクが三高に受かるとは思っていなかった。そしてオダサクは見事に三高に受かって(合格者は二人)また周囲を驚かせた。

そうして三高生になったオダサクだけど、見返してやる的な目的がなくなったからか、文学談議や町遊びに呆けて(あと運命の女性・宮田一枝との出会いやあれこれ)、出席日数が足りずに退学となってしまう。この退学にもエピソードがあって、教授全員が黙認すれば卒業できる慣例になっていたのだが、一人だけ猛烈にオダサクの退学を訴える教授(山谷省吾)がいて、その勢いに他の教授が根負けしたという。のちにオダサクは自分の小説で山谷教授をみっともない役柄の登場人物として出して憂さ晴らししたとか。

とまあ、学生面でのオダサク半生をざっと書いたけど、家庭面や人間面でも色々あって、このへんの体験や経験のほとんどが作家になってから作品のネタに使われているところなども私がオダサクを好きなところのひとつである。
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皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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