kirakira
2015
08/29
17:53:36
ラドヤード・キプリング「祈願の御堂」を図書館で借りて読了。

サイズ変更ウィザード-1

五つの短編が収録されていますが、どれも難解というか、話の重点がどこに置かれているか、明確な答えが用意されていないので、結局なにがどうでどうなのかわからないものが多かったです。
訳者の前書きによると、キプリングの短編は話を読み解く鍵を容易に読者に提示することはないとのことで、納得。


■祈願の御堂
祈願の御堂の願掛けで好きな男の足の病気を引き受けるものの、訳者解説によるとミセス・アシュクロフトは自分の足の病気が自己犠牲によるものだと思い込みたいらしく、超自然的現象ではなく単なる偶然といいだけでもある。
自分の痛みに意味を見出そうとするところが印象に残った。

■サーヒブの戦争
ボーア戦争のことはまったく知らないため話の背景を理解できず。愚者の戦争という言い回しと、カーバン・サーヒブの仇を縛り首にしようとする二人にカーバン・サーヒブの霊が現れて「やめなさい、これはサーヒブの戦争なんだ」と制止する場面が心に残る。

■塹壕のマドンナ
訳者解説を読むと、かなりどろどろした人間模様とややこしい関係の話だったのだなと。
ストラングウィックが見た叔母の幻影の表情が神に慈悲を求めるものであるらしい作中描写は怪奇小説を思わせます。

■アラーの目
五篇の中で唯一わかりやすかった話。ロジャー・ベーコン好きなのでちょっと嬉しかった。
作品内容は教会という組織に対する皮肉ないし批判的な感じ。ゲーテが神は信じるが教会組織や盲信者は信じないといったことを述べているのを思い出す。
こういう話を読むと、アシジの聖フランシスコが学問を忌避していたのが理解できる。聖フランシスコは、学問は神への信仰を深めるためなら構わないがそれ以外を目的にしてはいけないと述べていた。

■園丁
訳者解説を読む限り、マイケル・タレルは主人公の甥ではなく息子らしい。ということは、主人公は弟との間に子供をもうけたのだろうか。それしか考えられないのだが。ボルヘスが語る主人公は知らない作中の奇跡はマイケル・タレルが次々と危険戦線を回避できた箇所だろうか。しかし結局死んでしまうのでは違うような気も。あと、スカーズヴァース夫人の意味深なセリフの数々は何を言ってるのかわからなかった。
最後に出てくる園丁がキリストらしいというのは好感がもてる。


やはり作中で明確に答えが提示されない作品は苦手です。短編なら最後に実はこれこれこうなんですという説明がないと私の頭では理解が追いつかない。
しかしまあ、科学が幅を利かせる現代で神への信仰心を意義あるものにするのは難しいなあと思います。
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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