kirakira
18:10:07
カート・ヴォネガット「ガラパゴスの箱舟」を購入。

サイズ変更ウィザード-1

ガラパゴス諸島に漂着した男女の子孫が百万年後の人類の始祖になるという裏表紙のあらすじを見て興味湧いて買ったのですが、島に漂着後の生活がメインかと思ったら、漂着するに至るまでの過程を、多種多様な登場人物たちの皮肉に満ちたエピソードをもって延々と紹介するのに話の大半が割かれていて、個人的には正直なところ期待はずれでした。
航海前のエピソードで全体の三分の二強を使って、人間のどうしようもない面を皮肉とユーモアで書き連ねるのがこの作品のメイン内容だったようで、このへんはヤロスラフ・ハシェクの作風を感じさせるものがあり、最初からそういう小説だと知っていればもう少し印象も違ったのですが……なんというか、カレル・チャペック「山椒魚戦争」みたいなのを期待していただけに、残念。

語り手が百万年にわたって人類の行く末を観察した幽霊という設定はよいと思いました。語り手の結論は、人類の進化と地球にとって最大の欠陥は、人間が脳を大きくして知性を得て文明を持ったことである――すなわち現代人の脳が諸悪の根源という答えに落ち着いています。知性があるから人間関係その他あらゆることで思い悩むし、文明があるから戦争を起こすし、地球のバランスから逸れて破滅へと向かってしまうのだと。
そこで自然選択は十名前後の人間をガラパゴス諸島で新たなアダムとイブとし、残りの全人類を絶滅させてしまうことに。こうして生き残った人間たちは、「マンアフターマン」の水棲人類のように進化してゆき、百万年後の人類は魚のような姿で知性も文明も持たず、本能だけで生活する幸福な世界になったそうな。
つまり地球自然の修正力が人間の知性と文明を欠陥品とみなして完全否定した結末である。

しかしまあ、冒頭にアンネ・フランクの「いろんなことはありましたが、それでもわたしはだれもが心底は善人だと信じています。」を引用しているのは、作品全体の皮肉なのか、作者の本心なのか、判別し辛いですな。
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。
永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。レイサナの道を歩む。キャラ単体では早苗さんが好き。



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