kirakira
17:22:57
機本信司『スペースプローブ』を購入。

サイズ変更ウィザード-1

日本人作家のSF小説読もう表紙買いしようというわけで表紙の女の子が可愛かったこれを。元は単行本だったようで、元のイラストは全然違います。文庫化に際してラノベ受けしそうな絵に変えた感全開で、まあ私は釣られました。

感想としてはなかなかよかったです。
主人公の男のほうは科学主義でヒロインのほうは超越的存在を信じていて、ことあるごとに意見がぶつかるわけですが、気に入った部分を抜粋してみます。


「科学が、ツールとして未完成であるという認識は俺にもある。かといって、科学的に考えることを
全面的に放棄する気にはまだなれない。人類が未熟なために、まだそこへ到達できないでいるだけだと思う。そもそも、科学的法則を超越した存在など、あり得るはずがない」
「科学で真理に届くと思い込むこと自体、おこがましいんじゃないの? 人間のおごりよ。大体、この宇宙や人間存在の不思議を、どうやって説明するというの。科学なんかで説明しきれていないじゃないの。そんなもので、未知の存在の不可解さは解明できるはずもない。むしろ科学的に説明できないものこそ、私たちが探しているものじゃないの?」
「馬鹿馬鹿しい。科学的に説明できないようなものなんか、探しに行けるか。そんなものを見つけても、どうやって人に説明するんだ」
「先輩には、畏怖の念というものはないの?」
「何に対してだ」
「自分を生み出した存在に決まっているじゃない。私たちって、自分が生まれてきた意味を探して生きているって言えるんじゃないの? そしてその答えを与える存在は、どこかにいる」
「俺だって何も、全面的に否定しているわけじゃない。けど科学的に説明できることにまで、いちいち妙な理由づけをされるのは困る。人間存在の不思議といったって、そんなものは偶然発生したものだし、確率の法則以上にそれを的確に説明するものがあるとは思えない」
「そうだろうか。私たちには偶然にしか見えないことでも、違う視点から見ると、必然的に起きたこともあるのかもしれない」
「何だと?」
「この世で起きる「偶然」を演出しているものの存在を、否定できないということ」
「そういう存在だったとしても、科学的にアプローチすべきだと言っているんだ」
「それでは理解できないこともあると言っているの」

「あやふやなのは、科学のほうよ。不確定性原理なんて、科学があやふやだと自分で白状しているようなものじゃないの。そんなものが、すべての謎を解き明かしてくれるとは思えない。少なくとも、私が生きている間は」
「理解しようという努力を怠っては、何も分らないだろ。理解するための共通言語が、科学じゃないか。それをすっ飛ばしては、分かり合えない」
「言葉を介さず、理解し合えることだってある」
「お前、まだ信じてるのか。超越的存在とやらを。そんな証明できないものを、俺は無批判に信じるつもりはない」
「まず、信じることだと思う。疑ったり、存在証明を求めるものじゃない」
「そんなふうに自分で聖域にしてしまうから、本質が理解できなくなるんだ。大体、物理法則を超越した存在など、存在し得ない」
「法則も、その存在が作ったのかも」
「馬鹿馬鹿しい。確かに今の科学で何もかも説明できるとは言わないが、まったく説明できないこともないんじゃないのか。まだ説明しきれていないことでも、いつか必ず」
「いえ、科学的なものの理解には、限界があると思う。限界があるからこそ、人は他の道を探るのよ、きっと」
「それは限界まで突き詰めて、初めて言えることだろ。理解し難い科学的手法を回避し、イージーに理解しようとしているとしか思えんが。それが根本的な問題だとしても」
「人はともかく、私は自分なりに科学を学んできたつもりよ。ひょっとすると、あんた以上に。それでも疑問は消えない。正しいと証明されたことまで否定する気はないけど、まだ科学で説明できないことは、どうすればいいの? 他の方法でアプローチするしかないじゃない」
「だからといって、俺はすぐに信じたりはしない。ペンディングにし、研究を続ける」
「いつまでペンディングにしておけるのかしら。たとえば、人生の意味とか。科学的にいつ解明されるの? 量子力学や相対性理論を理解しないと、人は救われないの? 問題によっては、科学では無理。むしろ邪魔になる場合だって、あるかもしれない」
「それが無批判に何かを信じることである必要はないはずだ」
「あんただって、科学を信じている。信じる信じないの話なら、私とちっとも変わらないじゃない」
「しかし正体もわからない存在に、どうやって救ってもらえると信じられるんだ」
「あれこれ迷って二の足を踏むより、信じて突き進んだほうが手っ取り早い」


もちろん私は圧倒的にヒロインの意見に共感しまくりです。科学では解明できないことがある、超越的存在はいるはずだ、それと出会えればきっと何かの答えを示してくれるはずだって考え最高じゃないですか。
後半ヒロインの心が折れる展開がありますが、最後にはまたそういう存在は必ずいるという気持ちが戻ってよかった。
ところでこの主人公たち、宇宙船乗っ取ってこれだけやらかした以上は刑事罰を受けたりするんだろうかと思ったら、どんでん返しで逆にヒーロー役割を与えられるというハッピーエンド。NASAとアメリカはすごいんだということを誇示してくれました。

この本Amazonレビューで結構ボロクソに批評されてて、それがだいたい「メインキャラの思考と行動が幼稚すぎていらいらする」「論議が中学生の会合レベル」「展開が無茶苦茶で無理がありすぎる」「ご都合主義」といったものなので、なら私は特に問題なく読めそうだと思ったのですが、実際楽しく読めました。
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皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


「カワイイボクとファーストキス」とらのあな様にて委託販売中。



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「ムングの獣かく語りき」メロンブックス様にて委託販売中。



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