kirakira
19:38:09
トマス・カヒル『聖者と学僧の島』を借りてきました。

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聖パトリックによってキリスト教化されたアイルランド人が、中世前にどうやってヨーロッパの文明を救ったかを主題にした本。
最初の数章では著者が皮肉をふんだんに盛り込んでローマ帝国と聖アウグスティヌスとローマ人のキリスト教をこきおろしていて、これもうどうしようと困惑したのですが、聖パトリックの話に入ると、最初の数章を踏み台に、一転してパトリックとアイルランド人を持ち上げる内容に変わったので、そこからは楽しかったです。

異教の文化に支配されたアイルランドに、聖パトリックは寛容な心で異文化を残したままキリスト教に改宗融合させた。それはローマ人のキリスト教に染まっていないまったく新鮮なキリスト教であり、だからこそアイルランド人に受け入れられ浸透した。パトリックの活動のおかげでアイルランドに書物の読み書きや書写の文化がもたらされた。そのころローマ帝国は崩壊し、ヨーロッパは異民族に蹂躙されて文明の灯が消えかけていた。そこへ、パトリックの死後、アイルランドの修道士たちが荒廃したヨーロッパの各地へ布教活動に出かけ、持ち込んだ書物や書写技術でヨーロッパの文明を復活させたのである。
聖パトリックがいなければ、アイルランドがキリスト教に改宗し文明化されることはなかった。そしてアイルランド人がいなければ、ヨーロッパの文明は復活せず、やがて台頭するイスラムに征服されていただろう。

聖パトリックの胸当ての影響を受けた後世の人物にアシジの聖フランシスコや、ダンセイニ卿の親戚ジョゼフ・プランケットの名も挙げられていたのはちょっと嬉しい。

聖パトリックとアイルランド人を持ち上げるためにローマ人のキリスト教や聖アウグスティヌスを引き合いに出して下げるのはどうかと思いますが、それを除けば興味深く面白い内容でした。とにかく聖パトリックとキリスト教化されたアイルランド人の息吹と業績が心地よい一冊です。
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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