kirakira
21:04:05
竹岡啓様よりオーガスト・ダーレス『ジョージおじさん』を恵贈賜りました。謹んで感謝の意を表させていただきます。

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邦訳では『淋しい場所』につづくダーレスの短篇集!
じつにスタンダードな佳品ぞろいででこれぞ怪奇小説といわんばかりの内容でした。
『淋しい場所』はどちらかというと精神性と想像力の産物に訴えかける話がメインでしたが、こちらはストレートに幽霊や呪術を扱った怪異ばかりです。基本的に悪人やそれに準ずるタイプの人間が例外なく死の報いを受ける結末で、この短篇集におけるダーレスの清々しい一貫性を感じます。その題材とシチュエーションを味わう心地よさといったらもう。子供に暴力を振るう大人(だけでなく同年代の子供も)が超自然的な力で容赦なく報復される内容が結構多いのも特徴。怪異の犠牲者はほぼ自業自得なので理不尽加減や後味の悪さはありません。

印象に残った作品の感想など。

「ジョージおじさん」
少女を謀殺しようとする悪い親戚たちを幽霊のジョージおじさんがやっつけるわけですが、トランクの蓋を力いっぱい落とす怒りの表現や、一度外した針金をいつの間にか元に戻しておいて自滅させるひっかけなど生々しいやり方が面白いです。解説を読むと平井呈一氏がダーレスの別名義で書かれた作品と知らずに称賛していたというのに感心。

「パリントンの淵」
犠牲者の判事、目の上の釣りライバルがいざいなくなってみると寂しさを感じる描写があったから、展開によっては幽霊との奇妙な釣り友情が芽生える話でもよかったかなと。ライバルを死なせたのが判事ならアウトですが。

「プラハから来た紳士」
ブラックウッドが評価した作品らしいですが、墓泥棒に報復しに来たプラハからの紳士がわざわざ地下鉄やタクシーなどの交通機関を利用しているのが妙にくすりときました。

「マーラ」
非常にロマンチックな恋慕譚。しっとりとしたいい話です。

「死者の靴」
悪人が報いを受けるシチュエーションとしてはこれが展開的に一番愉快でした。さして悪意のない「すり替えておいたのさ!」が相手にとって致命的な致命傷w

「ロスト・ヴァレー行き夜行列車」
うっかり辺鄙な村での秘儀に参加してしまう内容ですが、この短篇集の中では独特の雰囲気。ブラックウッド「アーニィ卿の再生」、ラヴクラフト「魔宴」など、この手の話には奇妙な誘引作用があります。

「マニフォールド夫人」
異様な存在感のあるマニフォールド夫人のキャラクターとその宿屋という舞台はすごく雰囲気があって魅力的。それだけに、夫人が結局ただの悪人で報いを受ける内容だったのが肩透かしというか残念というか。

こうしてみるとやっぱりクトゥルー神話のあれこれでダーレスは作家として不当な評価を受けているなあと思わざるを得ません。こういう本が翻訳されていくことにより日本でそれが払拭されていくことを願うばかり。
個人的にはダーレスの本領らしい郷土小説が読みたい! サック・プレーリー・サーガ、興味あります!
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皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。
永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。レイサナの道を歩む。キャラ単体では早苗さんが好き。



新刊「永遠のレイサナ」とらのあな様にて委託販売中。


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