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kirakira
00:16:06
ロバート・E・ハワード『失われた者たちの谷』を竹岡啓様より恵贈たまわりました。
此度の御厚意に多大な感謝を表させていただきます。

サイズ変更ウィザード-1

ハワードの描く様々な特色ある八本の作品が収録されています。未読の七作の感想を。

「トム・モリノーの霊魂」
熱いボクシングの血闘に偉大なチャンピオンの霊魂が助力にくるという話なわけですが、アストラル界というスピリチュアルなオカルトが盛り込まれているのが不思議な味わいで、肖像画がその扉というのが面白い。

「失われた者たちの谷」
テキサスで敵対する両家族はいわば導入で、丘陵の地下深くに潜むおぞましい妖術を扱う種族の恐怖が本題。からくも脱出するものの、現実を隔てた薄いベールの向こうにいる存在の真実に耐え切れず自殺するラストはラヴクラフト的な結末と感じました。

「黒い海岸の住民」
訳者あとがきを読むと一応SF作品らしい。そういわれるとそういう気もしないでもないけど、とにかく淡々とした透明感のある文章表現が印象的で、異種族との理解は無理であるがゆえの暗澹たる結末。

「墓所の怪事件」
十五層にもなる地下洞窟のなか、層を下るごとに遠い昔に閉じ込められた人間達の辿るおぞましき最悪の退化が顕著になっていく描写がぞくぞくする。後半はラヴクラフト「潜み棲む恐怖」を思い出したけど、こちらは逃げ出したところで終わり。いやいやいや、伏線かと思ったダイナマイトで出入口を爆破埋没してくれよw

「暗黒の男」
収録作の中では一番気に入りました。ヴァイキングに脅かされる中世アイルランドのケルト系戦士が主人公で、話も雰囲気も荒涼かつ茫漠とした熱気に彩られているのがいいです。栄華を誇る部族や戦士たちも一切は過ぎゆくもの。寂寥と悲哀が伝わってきます。司祭の信念がまた格好いいんだ。主人公が最後に「民族があるかぎり血の争いは終わらない」と言っていて、ZZガンダムでも民族の問題は非情に厄介という話があったなあと。
とりあえずティル・ナ・ノーグが主人公の言葉に出てくるのが嬉しかった。

「バーバラ・アレンへの愛ゆえに」
ハワードはこういう話も書けるんだと思わせる一篇。どこか詩的で叙情的な、時を超えた魂と愛のめぐりあい。戦争というものの悲しみも描いています。

「影の王国」
クトゥルー神話ですっかりおなじみヴァルーシアの蛇人間たちの脅威に、太古のヴァルーシア王カルが挑む。最初はつんけんしあっていたピクト人のブルールと鉄の友情で結ばれるのが格好いい。やはりハワード作品はこういうのが好きですわ。

なかなか堪能できました。ダーレスやハワードのクトゥルー神話以外の作品がもっと邦訳されてほしいと思いました。
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皇帝栄ちゃん

Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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