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kirakira
22:59:01
コードウェイナー・スミス『人類補完機構全短篇3』を読了。

サイズ変更ウィザード-1

〈人間の再発見〉の第二世紀、砂の惑星出身のキャッシャー・オニールを主役にした連作短編と、作者亡き後に夫人が書いた補完機構最後の作品が収録された最終巻。

「宝石の惑星」「嵐の惑星」「砂の惑星」
普通の作家なら主人公が二つの惑星で得たものでいかにして宿敵から故郷を解放するかという話になる。しかしこれはコードウェイナー・スミスの作品であった。驚きであるが私にとっては実に良い展開と結末だった。
「嵐の惑星」のヒロインであるト・ルースは印象度が凄かった。外見は10代前半の女の子。実は1000歳近くで、しかも今後9万年生きるかもしれない。生まれたときから館の主人(爺さん)だけを愛するよう条件付けされていて、心の底から爺さんを愛していて彼の所有物であると平然と言ってのける。さらに絶大な魔女だった亡き妻の人格と能力を移植されているため、外見に見合わぬ圧倒的な力と強者の余裕態度まで兼ね備えた存在。現代のチート系ライトノベルから抜け出してきたような設定だ!
「砂の惑星」はト・ルースの超チート能力を付与された主人公が序盤であっさり目的を達成したことに呆気にとられる。なんと本題はその後に展開されるキリスト教的な巡礼の遍歴である。そこにはイ・テレケリの影もある。素晴らしい。

「三人、約束の星へ」
作者はこれ書いてるときダグラス=オウヤン惑星団から変な電波でも受信したのかと困惑するくらいぶっ飛んだ内容。これをキャッシャー・オニールの後日談にするのマジ勘弁。その気になれば複数の恒星を簡単に消滅させられる改造人間とかいくら〈補完機構〉でもそんなもの作れるのアウトでしょ。まあ中身が黒髪の女の子というのはよかったけど、これもラノベ色がすごいわ。
「太陽なき海に沈む」
時系列的には一番新しいのだろうが、人間と下級民の意識関係があまり変化してなかったり、イ・テレケリの存在が補完機構全土に周知となっている設定はちょっと受け付けにくい。「帰らぬク・メルのバラッド」で人間と下級民の関係が対等になるときでさえ補完機構当局はイ・テレケリの存在を知らぬまま(ジェストコースト以外)なんだから、そこは崩さないでほしかった。二次創作とまでは言わないが、本編の数ある未来の中の一つくらいの感覚かなあ。

何はともあれ、これにて人類補完機構サーガをすべて読んだ。どっぷり浸からせてもらいました。
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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