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kirakira
2018
12/08
22:57:13
レイ・ブラッドベリ『火星年代記』を読了。

サイズ変更ウィザード-3

詩情豊かな文章と雰囲気で綴られた火星をめぐる挿話の歴史。
詩情のなかに込められた文明批判と戦争の愚かさへの警告がじつに心に響く。切なく悲しい。
気に入ったエピソードは「夜の邂逅」と「火の玉」。

「イラ」「地球の人々」「第三探検隊」
嫉妬に狂った火星人に問答無用でぶち殺された第一探検隊が一番悲惨。第二探検隊もかなりあれだが火星人の名前からしてユーモア喜劇な感じだし火星人も自殺する結果になったのでまあ。第三探検隊は隊長以外は寝てる間に幸せなまま殺されたのかな。『チェコSF短編小説集』収録の「ブラッドベリの影」で言及されてた「『火星年代記』で第二探検隊がどうなったか」の記述、これ正確には第三探検隊の間違いじゃないのか、幻影の罠。
「夜の邂逅」
このくらい地球人と火星人が友好的にやりとりする話をもっと読みたかった。
たぶんこの話に出てくる火星人は過去の者で、「君の名は。」みたいに時間軸がずれてるのだろう。
「火の玉」
キリスト教的に心が洗われる素敵な話。
「第二のアッシャー邸」
ブラッドベリによるポーのオマージュ。この作品世界では2006年に大焚書があって、ポー、ラヴクラフト、ホーソーン、ビアスなどあらゆる怪奇幻想小説は焼かれたらしい。漫画や探偵小説や童話などのフィクション産物もみんな破壊されたようで、ここから地球はかなりディストピアっぽいと判断できる。
「火星の人」
冒頭とラストがちょっと「猿の手」を思わせる。人間の愚かさと悲しさが同時に爆発した悲劇。
「地球を見守る人たち」「沈黙の町」
地球で大戦争が起こったから火星入植者のほぼ全員が一目散に帰還するのはどうにも違和感があった。アメリカ人だからなのか。自分の意思で残ったのは太った女性ひとりだけじゃないか。
「長の年月」
ワイルダー隊長も、神父たちも、みんな、地球の戦争で死んだのかなと思うと悲しい。
「百万年ピクニック」
ラストは最初ちょっと意味を取り違えて、実は自分たちは火星人だったオチかと思ってしまったが、そうじゃなくて戦争で滅ぶ地球を脱出した二組の地球人家族が火星で新たな火星人として生きていく決意をしたわけか。ちょうど子供たちが男女に分かれていなかったら詰んでたな。それにしても本物の火星人たちは本当に絶滅してしまったのだなあ。

火星人の特徴が挿話ごとに別キャラと思うくらい違うのだけ気になったかな。
地球人が火星に入植してから去るまでの間の話が雰囲気的に好きで、思えばイアン・マクドナルド『火星夜想曲』も博士がいなくなるまでの序盤が好きだった。
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Author:皇帝栄ちゃん

クトゥルー神話、ロード・ダンセイニやアルジャナン・ブラックウッドの小説、一昔前の海外怪奇幻想小説、織田作之助、アシジの聖フランシスコなどが好きな這いまわる偽善者。永遠属性持ち。ハッピーエンド至上主義。

東方は早苗さん好きで、霊夢と早苗のカップリングがお気に入り。アイマスは橘ありす好きで、ありすと幸子のカプがお気に入り。


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